掛川の暮らしを発信するWebメディア「掛川暮らしのマガジン」。2020年8月・9月の特集「掛川で働く」では、掛川で働く人たちにフォーカスしながら掛川で働く魅力を探ります。
今回は、掛川の城下町にある福田カメラの福田専務にお話を伺いました。
掛川城から徒歩5分の距離にある創業60年のフォトスタジオ。結婚式の前撮り、七五三、ニューボーンフォトなどから、コマーシャルフォトも手掛ける。プライベートでは、地元の仲間とバンドを組んで活動中。掛川納涼まつりでは、演奏を毎年行っている。
自転車屋からカメラ屋に。進化することで、生き残ってきた
しまけん:ホームページを拝見したら創業60年とありました。掛川の城下町でどんな歴史を紡いできたのでしょうか?
福田さん:元々は、祖父の代に自転車屋として創業しました。それからお客様から写真を現像して欲しいという依頼があり、カメラの現像を開始。現像とカメラのボディの販売をしながら、父親の代で撮影スタジオを作りました。当時、周りからの反対もあったようですが、作ったら反響が凄かったようで。七五三の時期になると、1日数百組の写真を撮っていたようです。当時はスタジオがあるカメラ屋さんが周辺になったことも影響していたはずです。あとは、別の理由でスタジオがあってよかったなと思っています。
しまけん:それは何故ですか?
福田さん:私は東京に一度出ているのですが、30歳あたりで会社を継ぐために掛川に戻ってきました。ただ、私が入社したあたりに、カメラ業界に大変革が起きたんです。
しまけん:一体それは…。
福田さん:フィルムカメラからデジタルカメラへの移行です。当時の街の写真屋さんは、ボディ(写ルンですなど)を売ったり、フィルムを現像したりして売上を上げていました。しかし、フィルムカメラが売れなくなり、かつ現像もなくなり。ちょうど、携帯電話にもカメラがつき始めたころですね。このタイミングで多くの写真屋さんが廃業したのではないでしょうか。もちろん、私たちも街の写真屋として大打撃を受けました。でも廃業しなかったのは、スタジオがあったからなんです。スタジオがなかったらと考えると、それは恐ろしいですね…。
しまけん:自転車屋さんから写真の現像。そしてスタジオ!時代のニーズに合わせて進化してきたのですね。
福田さん:狙ってやったというわけではないとは思いますが、結果としてなんとか生き残ってこれたという感じでしょうか。
しまけん:新しい取り組みを次々とやられている印象がありますが、最近取り組んでいることはありますか?
福田さん:最近は、ニューボーンフォトに力を入れています。
しまけん:マタニティフォトのようなものですか?
福田さん:いえいえ、マタニティフォトは生まれる前ですが、ニューボーンフォトは生まれてから1〜2週間の間に撮る写真のことです。赤ちゃんって成長がすごく早いじゃないですか。「生まれたばかりの姿を残しておきたい」というニーズが高まっていて、ニューボーンフォトの依頼も増えています。
しまけん:どこで撮影するんでしょうか?
福田さん:自宅に伺って撮影することが多いですね。ベビーベットの周りを装飾して、撮影を行います。弊社のスタジオで撮影することもあるので、お客様のご要望に応じて柔軟に対応しています。また、結婚式の前撮りも多いのですが、最近はウェディングのプロデュースも増えてきました。
しまけん:結婚式もやられるのですか?
福田さん:あくまでも、親戚や家族のみで行うような小規模のものですが、プロデュースも手掛けています。事任八幡宮を借りて、当日の進行をしたり。近くの飲食店で食事の手配をしたりしていますね。また、今後は、ウェディングの撮影はロケ撮影を主軸の1つとして見据えています。今秋には、新しい取り組みの1つとして、『お写真の結婚式|旅するロケ撮影プラン』
言われて気がついた城下町に住むメリット
しまけん:掛川で三代にわたって事業をやられていますが、この場所で事業をするメリットは感じていますか?
福田さん:これは、友人から言われて初めて気がついたのですが、掛川城や大手門があることですね。灯台下暗しという言葉があるように、住んでいるとその魅力が見えなくて。大手門に至っては、目の前にありますからね。毎日のように見ているわけです。それが日常になりすぎてしまい、「ここで写真を撮ってもな…」と思っていました。そんな時、友人から「大手門前で撮影すればいいのに」と言われて。それで試しに撮影してみると、すごくいい写真が撮れたんです。
しまけん:住んでいると魅力が見えなくなるものなんですね…。
福田さん:そうなんですよね…。その時初めて、立地に恵まれていることを知りました。それから、大手門での撮影もはじめて。金額もスタジオ料金にプラスすることなく、「天気がいいのでついでに撮影しちゃいましょうか?」というノリですね。
掛川にはポテンシャルがある!
しまけん:街中に住んでいて、掛川の魅力はどのあたりに感じていますか?
福田さん:最近、駅前におもしろいお店が増えてきています。たとえば、掛川ビールを作っているFunny Farmさんがあったり、MICHIさんという店内を砂浜にしちゃっているお店があったり。掛川城近くには、JANカレーがあったり。おもしろい取り組みをしているお店が徐々に増えてきたなという印象です。
しまけん:確かに、居酒屋が多い中、独自の取り組みをしているお店が増えているような気がしますね。
福田さん:元々、掛川はポテンシャルのある街だと思っています。新幹線はあるし、お城はあるし、山や海もある。最近、知り合いに誘われて、海釣りに挑戦してみました。元々ブラックバスはやっていましたが、海は初めて。コチとヒラメが連れてうれしかったですね。釣った後は知り合いに捌いてもらって、妻と一緒にいただきました。
しまけん:遊び場が多いので、自然が好きな人はいいかもですね。
福田さん:それに、政治家というよりは、親戚や友人のような付き合いをしてくれる議員さんも多くいて。僕たちの話を聞いて、それを実現するために動いてくれるので心強いです。あとは、このハードを面白く活用してくれる若い人たちがもう少し増えてくると、可能性の花が開くのではないかと。
しまけん:若い人たちが掛川に移住してきて、馴染めますかね?
福田さん:お祭りは地域に溶け込むチャンスですね。掛川祭りは3日間に渡って行われる掛川のビックイベントで、毎年多くの人が楽しみにしています。また、飲みに行くのもおすすめです。飲み屋に行けば、おもしろいおじちゃんやおばちゃんがいて、みんなフレンドリー。すぐに馴染めると思いますよ!
インタビューを終えて
福田カメラさんは、親子三代にわたり60年も続いている歴史ある企業。しかし、その歴史は、自転車屋さんから始まっていたことを知り驚きました。常に進化を模索するDNAは、福田さんの中にも流れていることをインタビューで確信しました。次はどんな一手を見せてくれるのか?今後も目が離せません!