掛川出身の女性起業家「MATCHA HEAVEN」代表 比呂子さんにインタビューしました!

掛川出身の比呂子さんが、さまざまな挑戦や努力の末に辿り着いた現在とは?そして、進化し続ける彼女のこれからについてお伺いしました。

母里(榛村)比呂子さんが有機抹茶に出会うまで

茶畑に囲まれて、お茶文化とともに掛川で生まれ育った比呂子さんは、そのスレンダーな見た目からは想像もできないパワーを秘め、挑戦と努力の人生を歩み続けています。

「掛川からCAになれる人はいないよ・・・」そんな周囲の声を跳ね飛ばし、夢だった大手航空会社の国際線客室乗務員として活躍。自らの人生で“努力次第で、夢は叶えられる“という言葉を体現しています。その後リクルートへ転職し、さらなる進化の時代を過ごします。自身のことを「おせっかいで寄り添うのが好き」と話す彼女は、いつも人に優しく、人のためになる仕事に全力で取り組んできました。

そんな比呂子さんのターニングポイントとなったのは、結婚・妊娠を機に退職し、専業主婦になった時のこと。妊娠中のべビーマッサージの資格取得がきっかけとなり、赤ちゃんでも安心して使用できる無添加オイルブランド「hirondelle(イロンデール)」を立ち上げ、ママ起業家として歩みだしました。

近年では、当時の自分が専業主婦となり社会との断絶感に悩んだように、同じ悩みを抱えるママのために、「育ママキャリアシェアiNG」を設立し、地元掛川や地方ママたちのキャリア支援にも奮闘。

さらに、“地元静岡県の地域活性化に貢献したい”“有機栽培の日本茶・抹茶の魅力を世界に発信したい”と「MATCHA HEAVEN」「HOUJICHA HEAVEN」を設立。現在は、2児の母として、ブランドの代表として活躍する傍ら、静岡県立大学大学院で日本茶を研究するという多忙な日々を送っています。

「MATCHA HEAVEN」が手掛ける有機抹茶へのこだわり

標高600mの山間地にある生産地で作られた「有機川根抹茶」をはじめ、MATCHA HEAVENで取り扱う抹茶は全て標高350m以上で育った100%オーガニック抹茶有機JAS認定農地で栽培された茶葉を使用しています。

仕入れた茶葉は、ブレンドせず「単一品種-シングルオリジン-」にこだわっています。生産者や茶葉(生産地)の個性を引き出し、消費者が安心して飲めるシングルオリジンという選択。これは、茶葉はブレンドするというこれまでの常識を覆し、茶業界を驚かせているのではないでしょうか。

こうしたMATCHA HEAVENのこだわりや取り組みには、通常の何十倍も手間暇をかけて有機栽培を続ける農家さんのお茶作りへの想いや情熱、そして次世代に残したい環境への配慮が隠されているのだそうです。

「MATCHA HEAVEN」を通して次世代に紡ぎたい文化と想い

茶葉のブランド価値が下がり、茶業を営む農家さんは年々減少。「後継者がいない、息子に継がせたくない」そんな声を聞くたびに、悲しい気持ちになり、静岡の茶産業が今、立たされている状況に想いを馳せてしまいます。これまで当たり前にあった日本の茶文化がなくなりかけている現状を、私たちはどう考えていけばよいのでしょうか。

MATCHA HEAVEN代表 比呂子さんは、そんな苦しい現状にある茶農家さんの力になりたい、茶文化を次世代に紡いでいきたいと願い活動を続けています。

次世代に残す茶文化は、”人にも環境にも配慮された良いものでありたいですね。

人は、完全にオーガニックで生活するのはもちろん無理。けれど、静岡の美しい環境を残していくためには、土から変えて残していくことが大切だなと思います。

低迷する茶業の未来を守るためにも、海外への販売も考えるなら、これから残していくものは、オーガニックにしていかないといけないと思います。だから、「MATCHA HEAVEN」では、オーガニック抹茶にこだわった商品作りに取り組んでいるんです。

比呂子さん

さらに、茶農家さん、そして茶文化を守るために必要なことは、オーガニックな環境づくりだけではないと言います。今、日本中に浸透している、流通価格やお茶への価値観も大きく影響しているのだそうです。

これまでずっと、良いお茶も安価な値段で取引されて来てしまっているんです。本来のお茶の価値が流通の中で下がってしまっている、茶葉のフェアトレードが実現していない現状を変えていけたらと思っています。

「MATCHA HEAVEN」の仕入れる原料は、今後も、生産者さんの言い値で買っていきたいと思っています。

オーガニックは美味しくないという指標も変えていけたらと思っています。時代も変わるし、人によって感性も違う。お茶の味もみんな違って良いと思います。

オーガニックは虫がつくとか、安定しないとか、味も毎年変わるし、課題はもちろんあります。それでも、「今年はさわやかなお茶ができたね」と、ワインみたいに毎年できたお茶の味を楽しめたら良いと思います。

生産者さんは、新茶のために1年かけて頑張ってきたのに、仕入れ段階のテイスティングで、美味しくないと評価されたら、一気に値段を下げられてしまうんです。選ばれなかった生産者さん達の生活どうなっていくのだろうか・・・。だからどんどん辞めて行ってしまうのではないかと感じます。

それは当たり前の文化だけど、とても心が苦しくなります。これまでの伝統は当たり前だけど、自分にとっては当たり前ではないこともある。若い世代に向けて新しい提案を発信していきたいですね。

比呂子さん

コーヒーに産地ごとの特徴があるように、お茶にも産地ごとの味があっていい。地域のお茶の味を、生産者さんの個性を楽しめる新しい茶文化を発展させるため、シングルオリジンにこだわり続ける比呂子さんの想いが伝わります。次世代に紡ぎたいものをどうやって残していくのか。これからも挑戦は続いていきます。

茶文化を次世代に残すための新たな挑戦”ORGANIC GREEN TEA LIFE株式会社” 

地元静岡の地域活性化に貢献するため、さまざまな生産者さんの元へ足を運び、現場の声を聞いてきた比呂子さんが、この夏新たな事業に挑戦しようとしています。

「MATCHA HEAVEN」で、既に多くの生産者さんを助けている一方、全ての茶農家さんに手を差し伸べるのは難しいのが現状です。そんな思いから、立ち上げた「 ORGANIC GREEN TEA LIFE株式会社」では、茶農家さんが心を込めて生産したお茶を、適正に流通させるためのアイデアや課題解決の提案です。生産者が作ったもので、生産者自身がサービスを提供できる仕組みづくりやアイデアを提供していきます。

比呂子さんが、これまでに培ってきたすべてを詰め込んで、茶農家さんと消費者を繋ぎ、茶文化を若い世代や海外へと紡いでいってくれるのがとても楽しみです。

ティーツーリズムへの挑戦

茶農家さんと消費者を繋ぎ、お茶のブランド価値を高めるために、次に比呂子さんが挑戦する「ティーツーリズム」とは?

世界農業遺産茶草場農法のお茶 × 静岡の豊かな自然・観光資源

静岡の宝である、お茶と観光資源を掛け合わせた「ティーツーリズム」。

茶文化を残すためには、まず、茶畑に人を呼んで、良さを知って貰うことが第一歩。都市部から人を呼んで、生産者だけでなく、生産地周辺の観光業も併せて、みんなが活性化する仕組みを作りたいです。

クリエイティブな企業とのコラボや、市民のみなさんや行政が、一緒になって作り上げ、静岡を盛り上げていきたいです。古くから大切にしてきた文化はもちろん、これからの時代に必要なことも取り入れて、高齢者世代・若い世代、両方の立場から考えていきたいと思っています。

茶業は文化!!流行りは一瞬で過ぎていくけど、文化は100年200年と歴史として残っていきます。

それをもっと誇りに思って、お茶文化を楽しんで欲しいなと思います。みんなでお茶を飲んでいきましょう。

比呂子さん

「常に挑戦!」「お茶のことしか考えていない」「夢でもお茶のことを考えている」そう言って笑う比呂子さんですが、その言葉の裏に隠された努力と苦労は、筆者には想像もつかない程の大きなものなのだろうと感じます。

そんなパワフルな起業家である比呂子さんですが、一番多い悩みはやっぱり子どものことだそう。ママとしても手を抜かず、身体に優しい丁寧な暮らしをし、子どもの未来についても全力で考えている比呂子さん。事業を展開し、大学院で学び、子育てに奮闘。これからの比呂子さんの活躍・進化からも目を離せません!

~MATCHA HEAVEN~

HP: https://matchaheaven.com/

Instagram: https://www.instagram.com/matchaheaven_japan/

~ ORGANIC GREEN TEA LIFE株式会社 ~

Instagram: https://www.instagram.com/matchaheaven_japan/