近年、随分と数が減ってしまった「駄菓子屋」。自分たちが子どもの頃は、近所の駄菓子屋さんに集まる子どもたちの声が賑やかで、地域全体で見守られていたのに…。そんな風に感じる子育て世代のママさんも多いのではないでしょうか。
今日は、掛川市内でおすすめの3つの駄菓子屋さんをご紹介します。
Contents
障がい者も大人も子どもも集まる駄菓子屋「横さんち」
最初に伺ったのは、1年前のオープン時にも、暮らしのマガジンで取材をさせていただいた「横さんち」です。
お店に入ると、横山さん夫妻やここで働くスタッフの皆さんがとびっきりの笑顔で迎えてくれました。伺った時は、ちょうど1周年記念イベントのための飾りつけの最中で、店内は手作りのペーパーフラワーや風船で、華やかに飾り付けられていました。
子ども達は、「こんな駄菓子屋さん初めて!!」と目をキラキラさせて、持ってきたお財布の中の100円を握りしめて、楽しそうに店内をウロウロ。
車いすの子ども達にも外に出る楽しさを知ってもらいたい
早速、横山さんにお話をお伺いしました。
-駄菓子屋さんを運営する目的や意義などをお伺いできますか?
3つの目的や意義をもって運営していますが、1つ目は「福祉教育」です。
福祉教育として市内の学校に行って子ども達と交流をする機会がありますが、それが年1回、その後交流が途絶えてしまうのはもったいないなと感じたんです。こういう場所を作ることで、逆に子ども達から来てもらってそれ以降の交流を深めていく場所を作りたかったんですね。
2つ目は、「障害を持った子ども達の来れるお店を作りたい」。
一般の駄菓子屋だと車いすが入れない、商品がとれないなどの問題もあったりして、そういう子ども達が来てもらえるお店を作りたいなと思ったんです。
3つ目は、「障がい者の雇用の場を作る」。
現在、在宅を含めて11名程の雇用の場になっています。障がい者と健常者の交流はぎこちないし、お互い遠慮がちになってしまう。触れたいのに、触れられない、話したいのに話せないという姿もまだまだ見受けられるんですよ。ここでは、障害をもった人も、大人も子どもも来るから、いろんな人がごちゃ混ぜになって交流をしていく場所にしたいなと思っています。
-2019年11月のオープン以降、お店の運営はいかがでしたか?
オープン当初は賑わっていて、これからイベントもやっていこうというタイミングでコロナ禍になり、3ヶ月の休業、思うように営業できていません。6月より徐々に時間を伸ばしながら営業し、11月より土日祝も営業するようになりました。
ここには、砂場もあるし、アイボもいて、メダカも泳いでいるし、子ども達がその周りを囲んで遊ぶ。私たちにとっても、来た人も楽しい場所にしたいんです。オシャレな駄菓子屋、他にない駄菓子屋を目指していますね。
※コロナ禍の今は密着度の高い砂場はお休み中です。
-お店のこだわりのポイントはどんなところですか?
バリアフリーで、車いすの人も子ども達も買い物しやすい高さにこだわりました。聴覚障害の人用に筆談ボードも用意していますよ。トイレにはベッドも設置してこだわりました。
障害を持った方が1歩外に出ると段差や坂道などにぶつかってしまう。外に出れる環境も整っていないこともあるので、もっともっと街中に出てくるきっかけとなるようなお店になりたいなって思います。
-駄菓子以外にも手作りの商品が置かれていますね
これらは、障がい者雇用の一環で、彼らが一つ一つ丁寧に手作りした商品なんです。お祭りの屋台は、地区ごとにオーダーもできますよ!
福祉教育や障がい者雇用に力を入れる横山さんの温かさ
コロナ禍で休業中は、余ってしまったお店の商品を学童保育などに配ったり、今後、市内の福祉施設の子ども達にも会いに行きたいと語る横山さん。コロナが終息したら、イベントを開催したり、今後は店内のテーブルでボードゲームや勉強会などもやっていきたいと、子ども達のための活動へのアイデアが次々とあふれていました。
若い方もたくさん来てくれて、「ヤングママやお子さまとの触れ合いも楽しい」と茶目っ気たっぷりな笑顔がとても印象的でした。
障がい者も大人も子どもも、垣根なく交流できる「横さんち」にぜひ遊びに行ってみてください。
駄菓子屋オープンのきっかけや詳しいエピソードはこちらから。
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掛川城近くに駄菓子屋「横さんち」がオープン!障がい者が”イキイキと働ける”お店をつくりたい横さんの想いとは
<横さんち>
住所 | 静岡県掛川市城下7-10 |
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TEL | 0537-28-7653 |
営業時間 | 平日13:00〜17:00、土日祝11:00〜17:00 |
定休日 | 月曜日 |
https://www.facebook.com/yokosanchi/ |
昼は駄菓子屋、夜はBAR!!弥生町の憩いの場「13番倉庫」
次にご紹介するのは、弥生町公民館のすぐ隣にあるとってもおしゃれな駄菓子屋さん「13番倉庫」です。
住宅街の中にあるシックでオシャレな外観が印象のお店です。靴を脱いで入るスタイルの店内は、思わず「ただいまー!」と言ってしまいそうな温かな雰囲気で子ども達を迎えてくれます。
早速、お話をお伺いしました。
-お店をオープンしたきっかけを教えてください
3年前にオープンしたんですが、もともとアパレルをやっていて、自分のお店はずっと欲しかったんです。今は駄菓子屋さんって少ないじゃないですか。子ども達がおやつを買うってなると、コンビニで買い物するんではなくて、100円を握りしめて選ぶ楽しさとか、計算もできるようになるといいなって。
子どもも大人も、みんなでわいわいゆっくりできるようなお店を持ちたいと思って、家を建てたタイミングで駄菓子屋Barを始めました。近くに公園もあるので、子ども達はここで駄菓子を買って、近くの公園で遊んだりもしています。
-座ってくつろげる空間はどんな風に利用されているんですか?
ここは、買った駄菓子を座って食べたり、宿題や勉強している子もいたり、スイッチとかゲームを持ってきて遊んだりと自由に使ってもらっています。
-BARもされているんですよね?
そうですね。休日は親子で来て、パパが一杯飲みながら、子どもが遊ぶというような空間にもなっています。隣が公民館なので、お祭りの時なんかも、みんなで集まる場所になっていますね。
駄菓子にBARにアパレル。オーナーのセンスが光るアットホームなお店
店内にはハイセンスな雑貨が並び、一歩踏み入れると大人も子どももワクワクしてしまうような空間。長年アパレルをされてきたオーナーさんが選ぶ素敵なアパレル商品の販売もされています。近所の子ども達が集まると、自然と仲良くなって会話が弾む。つい長居してしまうアットホームな空気がとても心地よいお店でした。
今年はコロナ禍で自粛中とのことですが、来年以降、またハロウィンやクリスマスイベントなどもやっていきたいそう。休日に親子でゆったり楽しめる隠れ家BARとしてもぜひ利用したいですね。
<13番倉庫>
住所 | 静岡県掛川市弥生町61-8 |
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TEL | 0537-54-1513 |
営業時間 | 13:00〜LAST |
定休日 | 不定休 |
https://www.instagram.com/13fancangku/ |
おでんが絶品!大人も子どもも大好きな駄菓子屋「すいのや」
最後にご紹介するのは、掛川市民ならご存じの方も多い、老舗駄菓子屋「すいのや」さんです。
掛川城、大手門の目の前に建つ歴史的な佇まいのすいのやさん。お店のドアを開けると、おでんの香りが食欲を誘います。店内にはイートインスペースもあり、駄菓子、おでん、焼きそば、お好み焼きなどが食べられます。
早速お母さんにお話をお伺いしました。
-「静岡おでんと言えばすいのやさん!」という程市民に愛されていますが、お店はいつからされているんですか?
長男が幼稚園に入ったころだったから、昭和30年頃、創業64年くらいになるかな。一番初めはおでんから始めたんだよ。その後、あそこにあるショーケースと駄菓子台を購入して、駄菓子を始めてね。昔は子ども達で賑わっていたけれど、最近はこの辺も子ども達が減ってきてしまったね…。今は常連さんがおでんやお好み焼き、焼きそばを買いに来てくれますよ。
-おでんは毎日購入できますか?
毎日やってるよ!冬は自宅で煮込む人も多いから、夏の方が沢山売れてるかな。今はコロナもあってさらに買いに来る人も減ってしまってるけど、テイクアウトもできるから、夕食のおかずに買いに来てほしいね。
焼きそばは毎日11:30~14:30頃まで。早めに売れてしまうから、昼前にくるのがいいよ。それから、お好み焼きは木曜限定だから気を付けてね。お休みは、火曜日と第一・第三水曜日です。
-駄菓子の販売をしていてよかったことはありますか?
毎日子ども達が集まってきてくれて、自分たちで一生懸命選んで計算している姿が見れるのがいいね。価格は子ども達が計算しやすいように、22円・33円と同じ数字で表記しているんだよ。
古き良き時代の駄菓子屋を継承し、地元に愛される「すいのや」の魅力
まもなく90歳になろうというお母さんは、とっても元気!取材の間も終始お店に立ち、常連さんと会話を楽しみ、ものすごい速さで駄菓子の計算をしています。こうして毎日駄菓子を購入しながら、算数を教えて貰ったこども達はどれほどいるのだろうかと考えながら、自分の子どもの頃の駄菓子屋の記憶に思いを馳せる時間となりました。
大人はおでんや焼きそば、お好み焼き。子どもは駄菓子やアイス。店内のイートインスペースや外のベンチに座り、みんなが楽しそうに過ごす時間。そんなすいのやさんのいつもの景色がいつまでも続いていくといいなと思います。
<すいのや>
住所 | 静岡県掛川市城下6-1 |
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TEL | 0537-22-7432 |
営業時間 | 10:30~18:30 |
定休日 | 火曜日/第一・第三水曜日 |
食べログ | https://tabelog.com/shizuoka/A2202/A220203/22018879/ |
今回は、駄菓子屋さんということで、あえて子ども達を連れて放課後の時間にお伺いしましたが、どのオーナー様も温かく優しい笑顔で迎えてくれました。地域のため、子ども達のための想いや工夫が感じられて、掛川市で子育てができて良かったなと感じられるお店ばかりでした。
コロナ禍の今は、なかなかゆっくりイートインはできないかもしれませんが、駄菓子を購入して近くの公園や自宅で食べるのもいいですね。